白蓮庵のブログ

群馬大好きおババ 七合目の行者悠眞 白蛇くぅチャン♪るぅチャン♪とのラブリーな生活や大自然との共生、お詣り報告やファンタジーワールドIF愉快な仲間たちとの修行体験記。ほぼ雑談。いや、ほぼ食べ物の話かも。

地獄話 2 ❮橋を渡す❯

脱衣婆さんと懸衣翁さんは、来る日も来る日も、コツコツと脱がせては、衣領樹にコソーリ服を届ける仕事をしておったんじゃよ。

 

しかしなぁ、最近は佛様とは、葬式の時に会う位の付き合いしかせん人間ばかりになってのぉ。

 

せっかく佛法を、見る、聞く、唱える事が出来るように人間に生まれてもな、、、

 

なーんも知らんで、人生過ごし、なーんも考えず送られてくる。

 

 

『ワシらの事も知らんで来るから、服を剥ぎ取る変態婆さん扱いされておる』

 

まったく持って怪しからん!

 

ただ、ただ、日々の生活に心を失い、破地獄のための経も覚えず、此方へ来る者が多くてな。

教えて欲しいと頼むのに、破地獄経を教えん坊様がいるなら連れてこい。

ワシらが叱ってやるわい。

 

なになに?

坊様も知らない?

なんとも奇っ怪な。

そういう時代じゃ仕方ない。

 

お坊様が破地獄経を頼んでも授けてくださらんのなら、興味もはじまらんかもしれんのう。

 

では、八つとも、十とも言われある、その中から今日は二つ教えてやろう。

 

中身は付き合いの深いお坊様に授けてもらうのじゃぞ。

もし、既にこの二つを教えてくれている坊様が、お前さんに御縁があるなら、その坊様を信じて、佛道修行を怠るでないぞ。

その坊主は善い坊主じゃ。

 

①佛頂尊勝陀羅尼

②光明真言、最後に(ぱった そわか)を付け、爆発させる。

 

 

脱衣婆さんは思った。

そうか、どおりで連日のハードワーク。

 

流石のワシらも、お地蔵様にスタッフ増やしてくれるように、頼んだのじゃよ。

 

募集はしてくれてるらしい。
でも、今は何処も人手不足でのぅ。
成り手が居らんのじゃ。
しかも、給料は現物支給。
現金なんぞ持って来る者も居らんし、持って来たとしても使えん。


たまーに善い香りのする線香をワシらのために焚いてくれるものが、一番ありがたいのぅ。

まぁ、そんなワシらの話は一先ず置いとけ。


苦肉の策でな。


お地蔵様が、初江王様に進言してくれてな。


三途川に橋をかけることになったんじゃ。


そりゃー、見事なマッチョに鍛えられた鬼どもが、わんさかと材料もって現れてな。

あれよ、あれよ、と二つの大きく立派な橋を作ったんじゃ。


お地蔵様は
『上流の浅水瀬には、罪が比較的軽い人が渡れるよう橋をかけました。』
下流の強深瀬はどんな悪人でも渡れるよう橋をかけました。』
どちらも地獄の鬼達がかけた橋ですから、行く先は地獄ですわいね。


たつえバァちゃんも、かけいジィちゃんも、首を傾げる。

【極楽に行くものは、どうするんじゃ?橋をかけてしまっては川の広さは固定されたんじゃろ?】
ジィちゃんはお地蔵様に尋ねた。


お地蔵様は持っていた錫杖をシャンシャン振ると、キラキラした動物やら赤ん坊やら、純粋無垢な者達が材料を持って現れた。

 

あれよ、あれよ、と中程には金銀七宝を散りばめた極楽橋をかけました。

 

とても美しく輝く橋だけれども、とても細く、一人ずつしか渡れない。


サイの角のように一人で歩くしか、ないらしい。
少しでも迷いがあったら、落ちてしまいそうな、華奢な橋に見えます。


『そりゃ仕事しすぎで疲れとるんじゃよ。私には隣の橋が見えん程、広く立派な橋に見えるよ』

 

純粋無垢な者達が作った橋は魔物からは見えないよう、迷い無くしっかり佛様を信じて疑わないものには、大きな橋となるようです。

 

こんな感じで、脱衣婆さん&懸衣翁さんは、橋から転げ落ちそうな人を見守るライフセーバーとして、橋の通行料の六文銭を受け取る橋渡しに商売を変えたのでした。


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拙庵の庭で今日咲いた紅蓮。