最近浄土の話ばかりで【語られぬ地獄】である。
基本的にはフィクションです。
出典、参考資料は物語完結時に公開します。
実際に地獄が在るか、無いかはさておき、昔から語られる地獄の話には、実は裏側の話が存在しているのを、皆様はご存知だろうか?
今日はその中でも私の大好きな
『たつえバァちゃん』
についてお話をしようと思う。
むかーし、昔、、、、、
たつえちゃんは、旦那と二人仲良く暮らしていた。
夫の名前は、かけい君と言う。
二人は村でも知られる仲良し夫婦。
ここで、❮おしどり夫婦❯と言わないには理由がある。
実はオシドリはツガイで泳いでるように見えるが、マーキングしておくと、オスは入れ替わり立ち代わりなだけで、ペアな訳ではないらしいから、あえて使わない。
本題に戻る。
ある日仲良く二人で、地獄について語り合っていた。
『どうも最近、三途川で溺れて向こう岸に辿り着けん奴らがおるそうじゃ』
【そりゃいかんな、どうせ調子に乗って川にとびこんだんじゃろう】
『衣服が濡れてると思った以上に体力奪われるでな、ジーパンは最悪じゃ』
【奴らは泳ぐ時は水着に着替えるとか、パンツ一丁をしらんのかえ?】
『そうと見える。こりゃご注意せねば、彼方岸にわたしてやれんのう』
【そうだな、たつえちゃん、わしらが三途川に行ったら、渡らずご注意して、彼方岸に渡れるよう、手助けしてやろう】
毎日毎日、道端にあるお地蔵様に、それを願ったんだと。
真面目な二人は、食うも食わずも、まずはお地蔵様に御供し、御下がり食べては三途川での対策まで練っていた。
月日は流れて、、、
美人で可愛いたつえちゃんも、クッチャクッチャのバァちゃんになった。
かけいジィちゃんと、半日も違わずお迎えが来たんだと。
意外にも紳士だった、かけいジィちゃんは、お地蔵様と二人で戸口の前で待っててくれたんだと。
で、お地蔵様に連れられて、行っては戻れぬ黄泉国の本当の入口、三途川の畔まで来たんだ。
するとな、お地蔵様に教えられる。
〖三途川とは不思議な川じゃ、罪少なきものには水道水の滴りのごとく、それが川だとすら気がつかん。
罪多きものには対岸は見えず濁流となり、船で渡るも恐ろしくある大河となろう。〗
『ジィちゃん、私には矢の沢川位浅く彼方は2メートル位先の直ぐそこじゃ、こりゃ六文銭は不要じゃったな』
【バァちゃんや、わしゃ何をやらかしたまま、懺悔せずに来てしまったんじゃろ?利根川程もある川がワシの目の前にあるわいな】
『ありゃ、そりゃジィちゃんわかりきっとるワイ。私に素直に(愛しとるわー大切やー)と告白したことあったかいな?ほれ、してみぃ。』
【恥ずかしくて言えんワイ】
ゴォォォー
あっという間に対岸は見えなくなって行った。
【ヒェー(゚ロ゚ノ)ノ
たつえバァちゃんいつもありがとうな。愛しとるわぃなぁ♡】
ゴォォォー
見る見るうちに三途川は、チョンと渡れるような小川に変わったそうな。
それを見ていたお地蔵様は、二人をお雇いになりました。
お地蔵様は二人には、その者が、どのような三途川を目の前にしているかを見定める◆心眼◆をお授けになりました。
たつえバァちゃんは、川の此方で、泳いで渡る人々が溺れてしまわぬように。
●脱衣婆さん(だつえば)
かけいジィちゃんは、川の対岸にコソーリその服を枝に、引っ掛けておく、
●懸衣翁さん(けんねおう)(かけえじぃ)
となりました。
最初のうちは、来る人々も楽々川を渡る者ばかりだったから、たまーに来る、渡良瀬川みたいな三途川を目の前にする者にも、優しく丁寧な説明をして、理解を得ながら服脱がしの仕事して来たのだけれど、最近ガンジス川のような流れにでも飛び込もうとする輩が増え、丁寧な説明している暇など無く、長時間労働残業早出は当たり前、オーバーワークで過労死寸前。
必死に衣服を脱がすことだけに専念しているので、怖いババァと罵られ、誤解され、語られちまってるんだと。
この話を読んだ、あんたらは、たつえバァちゃんを煩わさず済むよう、しっかり精進し、素直で正直に生きなさいよ。
優しくなりなさいよ。
親にも友にも感謝を伝えなさいよ。
人を罵らず、貶さず、蔑まず、今は大変な時なのだな、と、暖かい気持ちで包んでやりなさいよ。
怒るんじゃない。
悲しむんじゃない。
不安にならず自分を信じなさい。
どうにもならない時は、これ唱えてごらん。
ワシらは、毎日唱えておったぞ。
たつえバァちゃんが、どっかの偉ーい坊様が、お地蔵様に向かって、でっかい声で唱えてたのを聞いたんだと。
コソーリ教えてやるわい。
❮❮おん かーかーか びさんまえい そわか❯❯
これ、沢山唱えとくと、三途川の畔までの道のり、ライトアップされた道になるんじゃと。
何度でも、たくさんじゃよ。